
「うちは関係ない」と思っていた相続税
仙台の土地価格上昇がもたらした新たな現実
物語:まさか自分の番で相続税がかかるとは
Kさん(52歳)は、仙台市青葉区の旧市街地にある空き家を相続することになりました。
曾祖父の代から続く土地に、祖父が建てた2階建ての木造住宅。いまは誰も住んでおらず、庭の草木だけが季節の移ろいを知らせてくれます。
父親がこの家を相続したのは30年ほど前。そのとき相続税は支払っていません。「うちは関係なかった」と父親から聞いていたため、Kさんも同じだろうと思っていました。
しかし今回、税理士から「相続税の申告が必要になります」と告げられたのです。
「えっ?うちは資産家でもないのに…」
Kさんは信じられませんでした。
でも、仙台の土地価格が上がっている今、以前なら非課税だった家でも課税対象になるケースが増えているのです。
相続税は“お金持ちの話”ではなくなりました
かつて相続税といえば、ごく一部の資産家だけが支払うものでした。
ところが2015年の法改正で、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたことにより、課税対象は一気に拡大しました。
旧制度:5,000万円+1,000万円×法定相続人
現制度(2015年~):3,000万円+600万円×法定相続人
たとえば「配偶者と子2人」なら基礎控除は
→ 3,000万円+600万円×3人=4,800万円。
つまり遺産の評価額が4,800万円を超えると課税対象になります。
仙台の土地価格上昇が“静かに”影響
仙台市の2025年地価公示によると、
平均地価は303,000円/㎡(前年比+7.0%)。
相続税の基準となる「路線価」も宮城県平均で**前年比+4.4%(全国4位の上昇率)**と高い伸びを示しています。
つまり、土地の評価額そのものが上がっているのです。
同じ家・同じ土地でも、10年前と比べると評価額が数百万円上昇しているケースも珍しくありません。
特に青葉区や泉区の旧市街地は地価水準が高く、
「親の代では非課税だったのに、自分の代では課税対象」という状況が現実に起きています。
「基礎控除」の仕組みをもう一度おさらい
相続税の課税可否を判断するための基本が基礎控除額です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人なら4,800万円。
この金額を超える遺産総額がある場合に初めて相続税がかかります。
注意すべきポイント
・相続放棄しても人数には含める(控除額が減らない)
・養子は人数制限あり(実子がいる場合は1人まで)
・**代襲相続(孫への相続)**も控除人数に含まれる場合あり
この「人数カウントの間違い」で控除額を誤算するケースが多いのです。
仙台の空き家が「課税ライン」に近づいている理由
青葉区や若林区、泉区など、仙台市内の土地はエリアごとに価格差が大きいですが、
仮に地価公示平均303,000円/㎡のエリアで**土地100㎡**を持っていると、評価額は約3,030万円。
建物の評価(木造家屋約300~500万円)や預貯金を加えると、4,800万円を超える家庭は珍しくありません。
つまり、「うちは関係ない」と思っていた層こそ、実は課税対象になっているのです。
まず確認したい3つのこと(仙台版)
1.相続人の人数を確定
放棄・代襲・養子の扱いを整理し、正確な基礎控除を算出。
2.該当地の最新路線価を確認
国税庁「路線価図」で所在地を検索し、評価額を概算。
3.生前贈与や名義変更の履歴を確認
2024年改正で贈与の非課税枠が変わっているため要注意。
放置せず「早めの確認」が節税の第一歩
「空き家になっているからまだ関係ない」
「兄弟で話がついていないから後で」
――そう思っているうちに、相続発生時には対応が間に合わなくなります。
いまのうちに、
□路線価ベースの概算評価
□基礎控除額との比較
□節税対策(共有整理・土地活用・贈与プラン)
を確認しておくことが大切です。
【まとめ】
・相続税は、2015年以降の基礎控除縮小で“身近な税”になった
・仙台市は地価上昇により課税対象世帯が増加
・「親の代では非課税」でも、今は課税になる可能性大
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