
実家を相続したけれど、この家どうすればいいの?
旧耐震の木造住宅に潜むリスクと対応策
物語:泉区南光台の築47年の家を相続し賃貸にしようと思ったら
仙台市太白区のマンションに暮らすMさん(56歳)は、泉区南光台にある実家を相続しました。
昭和52年に父親が建てた木造2階建ての家。昨年まで母親がひとりで暮らしていましたが、他界され、Mさんがすべてを相続することになりました。
Mさんは長町駅近くのマンションに住んでおり、通勤にも買い物にも便利。夫婦2人の生活にも満足しているため、実家に戻る予定はありません。
「空き家のままにしておくのも良くないし、賃貸にでもできないかな」と思い、知り合いの不動産営業マンに相談してみました。
ところが、返ってきた答えは意外なものでした。
「このままの状態では貸さない方がいいですね」と言われたのです。
営業マンの説明では、「旧耐震」「適合証明」「瑕疵保険」「空き家法」など聞き慣れない言葉が並び、Mさんは頭の中が真っ白に。
「どうして貸せないの?」「そんなに問題があるの?」――。
実家は思い出が詰まった家。壊す気にはなれない。でも、放っておくわけにもいかない。
Mさんのように、昭和56年5月以前に建てられた旧耐震住宅を相続した方は、今、全国的に増えています。
そして、知らずに放置すると、思わぬリスクや損失を抱えるケースも少なくありません。
ここでは、旧耐震の木造戸建住宅を相続した際に生じる主なデメリットと、その具体的な対応策をまとめました。
なぜ旧耐震住宅は「そのままでは貸せない・売れない」のか
昭和56年5月以前の確認申請で建てられた住宅は、旧耐震基準と呼ばれます。
この時代の建物は、現行の「新耐震基準」と比べて地震への安全性が不十分とされており、
倒壊・損壊リスクが高いと判断されます。
そのため、金融機関は担保評価を低く見積もる傾向にあり、買主が住宅ローンを利用できないケースも。
結果として、売却・賃貸どちらもハードルが上がるのが現実です。
放置すれば「管理不全空家」に
2023年12月に改正された空き家法では、「管理不全空家」にも行政指導が及ぶようになりました。
放置状態が続けば、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税金が最大6倍になることもあります。
相続直後から「管理の体制を整える」ことが不可欠です。
「相続空き家の3,000万円控除」を使えるかも
昭和56年5月以前の旧耐震住宅は、「相続空き家の3,000万円特別控除」の対象条件に該当する可能性があります。
ただし、耐震改修または解体を行い、一定期間内に売却することが必要です。
要件を満たせば、大きな節税効果が得られます。
「耐震診断」で現状を見える化
仙台市では、低料金で利用できる耐震診断支援制度があります。
専門家が建物を調査し、「倒壊の危険度」を数値で示してくれます。
診断の結果「評点1.0以上」になるよう改修すれば、
地震保険の割引や固定資産税の減額を受けられる場合もあります。
「壊す・直す・売る」判断の前に
旧耐震住宅を相続したら、まずは次のステップを意識しましょう。
1.相続登記の完了(2024年4月以降は義務化)
2.空き家管理(草木・郵便物・通風点検など)
3.耐震診断で現状を把握
4.税制・補助金・助成制度を確認
5.活用方針(住む・貸す・売る・壊す)を決定
この流れで進めれば、放置リスクを最小化し、資産を次の世代へ安全に引き継ぐことができます。
仙台市の主な支援制度(2025年度版)
・木造住宅耐震診断支援事業:診断費用の一部補助
・耐震改修工事補助金:最大上限額の見直しあり
・耐震改修後の固定資産税減額:翌年度120㎡分が1/2減額
(※詳細は仙台市公式HP「建築物耐震改修支援」ページ参照)
まとめ
旧耐震の家を相続すると、
「安全」「税金」「売却・賃貸」「維持コスト」――あらゆる側面で課題が生じます。
しかし、適切な診断と手続を経ることで、
「売れない家」が「価値を取り戻す家」へと変わる可能性も十分にあります。
「この家、どうすればいいのだろう…」と悩んだら、
まずは現状を見える化するところから始めましょう。
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