
家を売って損をした人必見
確定申告で税金を取り戻す「損益通算」の仕組み
1. 2月16日から確定申告。「利益が出た人」だけのものじゃない
不動産売却の確定申告というと、「家を高く売って税金を払うときにやるもの」と思われがちです。
けれど実務では、損をしたときこそ、申告する意味が出るケースがあります。
理由はシンプルで、条件に当てはまれば「居住用財産の譲渡損失」を、給与や年金など他の所得とぶつけて税金計算をやり直せるからです(損益通算、繰越控除)。
令和7年分(2025年分)の確定申告は、令和8年2月16日(月)から3月16日(月)まで。この期間を逃すと、還付のチャンスも遠のきます。
2. 5000万で買って3000万で売れた。2000万の赤字はどうなる?
バブル期や高金利時代に買ったマイホームは、売った瞬間に「売却損(譲渡損失)」が出やすい。仙台でも、住み替えや相続をきっかけに、この悩みに直面する方は少なくありません。
ここで大事なのは、何もしなければ、その赤字は“ただの損”で終わるという点です。
不動産の譲渡損失は、原則として給与や年金と損益通算できません。
ただし、マイホーム(居住用財産)には例外が用意されています。一定の要件を満たすと、譲渡損失を「税務上使える赤字」として扱える特例があります。
なお、実際の「譲渡損失の金額」は、購入価格と売却価格の差だけで決まりません。取得費(購入時の諸費用、リフォーム等)や譲渡費用(仲介手数料等)、建物の減価償却などが絡みます。ここは一度、数字を整理してから判断してください。
3. 給料や年金の税金が戻ってくる!「損益通算」の魔法
特例が使えると、家を売って出た譲渡損失を、その年の「他の所得」から差し引けます。
対象は、給与所得、年金(雑所得)や事業所得など、いわゆる総合課税の所得です。
イメージはこうです。
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まず、給与や年金で黒字(課税される所得)が出る
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そこへ、マイホーム売却の赤字(譲渡損失)をぶつける
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課税所得が小さくなり、所得税・住民税が減る
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すでに源泉徴収されていた税金が、還付として戻る可能性が出る
さらに、損益通算しても引ききれなかった損失は、翌年以後3年間繰り越して控除できる仕組みです。
4. 【シミュレーション】年収600万円の人が家を売って損した場合
ここでは分かりやすさ優先で、かなり単純化した試算をします。家族構成や控除(社会保険料、扶養、医療費等)で結果は動きます。
前提(例)
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給与収入:年600万円
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他の所得なし
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譲渡損失(損益通算の対象になる金額):仮に300万円
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控除は最低限と仮定
給与の課税所得がざっくり400万円弱のゾーンにある方は多く、所得税は速算表の20%帯に入ることがあります。
このケースで、課税所得が譲渡損失で300万円圧縮されれば、所得税額は大きく下がります。源泉徴収されていた分が多い方なら、数十万円単位で戻ることも珍しくありません(住民税も、翌年度の税額が下がる方向に働きます)。
【シミュレーション】損益通算の効果
年収600万円・売却損300万円のケース
確定申告で還付される可能性大
5. 使える条件は?「所有期間5年超」とローンの有無
ここが一番大事です。この特例は、全員が使える制度ではありません。
条件が複雑です。
大きく分けると、考え方は2系統あります。
1)買い替えをした人向け(新居を取得したケース)
マイホームを売って損が出たうえで、新しいマイホームを取得した場合の特例です。
主なポイントは次のとおりです(抜粋)。
- 売った年の1月1日時点で所有期間が5年超(長期)
- 新居は一定期間内に取得し、床面積50㎡以上などの要件
- 新居に償還期間10年以上の住宅ローンがあること
- 親子・夫婦など特別関係者への売却は対象外、ほか併用制限もあり
このタイプは、繰越控除を受ける年も含めて「連続して申告」など手続き要件が強めです。
2)買い替えなしでもOK(ただしローン残高があるケース)
「新居を買っていないけど、ローンが残ったまま家を売った」という方に可能性がある特例です。
主なポイントは次のとおりです(抜粋)。
- 売った年の1月1日時点で所有期間が5年超
- 売買契約日の前日に、償還期間10年以上の住宅ローン残高がある
- 売却価額がローン残高を下回っている
- 損益通算できる上限額は「ローン残高-売却価額」という考え方
こちらも、特別関係者への売却や、過去に別特例を使っている場合など、適用除外があります。
そして共通して重要なのが、制度の対象となる譲渡が「令和7年12月31日まで」とされている点です(令和7年4月1日現在の国税庁案内)。
細部は個別事情で結論が変わります。
最終判断は国税庁の案内確認、または税理士へつないで確認してください。
使える?「損益通算」の適用条件
全員共通の「関門」と、2つの「コース」
所有期間が5年超であること
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✔ 新居にローンがある
(10年以上) - ✔ 新居の床面積50㎡以上
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✔ 旧居にローンが残る
(10年以上) - ✔ 売値 < ローン残高
6. 忘れたら戻ってこない。必要書類と申告期限
還付は自動ではありません。自分で確定申告を出して初めて、税金計算がやり直されます。
令和7年分(2025年分)の申告受付は、令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までです。
還付申告は、受付開始前でも提出できる旨も国税庁が案内しています。
必要書類はケースで増減しますが、代表例は次のとおりです。
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売却したマイホームの売買契約書(写し)
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登記事項証明書など所有期間が分かるもの
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譲渡損失の明細書、計算書(国税庁の所定様式)
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ローン残高証明書(買い替え型は新居の年末残高、買い替えなし型は「売買契約日前日」の残高など)
書類が多くて気持ちが折れやすいところですが、ここで踏ん張ると結果が変わります。
7. まとめ:不動産売却後の税務もFP資格を持つスイコーへ
家は「売れたら終わり」ではありません。
翌年の確定申告で、取り戻せるお金が残っていることがあります。
スイコー不動産では、売却の出口戦略だけでなく、売却後の税務動線も含めて整理します。
「この特例に当てはまりそうか」「必要書類はどこまで揃っているか」を一緒に点検し、必要に応じて提携税理士の紹介も可能です。
仙台で、不動産売却後の“最後の詰め”まできちんと終わらせたい方は、早めにご相談ください。
お好みの方法でご相談ください。
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:30(定休日:水曜日)
よくある質問(Q&A)
Q1:年金暮らしでも還付されますか?
A:年金から所得税が源泉徴収されているなど、納めている税金があれば還付の可能性があります。まずは「その年に税金を払っているか」を確認してください。
Q2:5年前の売却損を今から申告できますか?
A:状況によっては「更正の請求」などの余地が出る場合があります。ただ、原則は売却した年分の申告で手当てする制度です。早めに税務署や税理士へ確認してください。
Q3:住宅ローン控除と一緒に使えますか?
A:買い替え型・買い替えなし型いずれも、住宅ローン控除と併用できる旨が国税庁で示されています(ただし手続き要件は増えます)。
この記事を書いた人
澤口 司 株式会社スイコー 代表取締役
一級建築士・宅地建物取引士・Affiliated Financial Planner。「建築」と「不動産」の両面から、資産価値を守る提案。複雑な相続問題も、プロの知見でシンプルに解決へと導きます。
