問い合わせゼロの理由は物件じゃないかも。不動産業界の闇「囲い込み」の手口と対策

両手仲介を狙う業者のウソを見抜く方法
あなたの家、隠されていませんか?
澤口 司

澤口 司

こんにちは、株式会社スイコーの澤口(一級建築士、宅地建物取引士、Affiliated Financial Planner)です。

売り出しから3ヶ月経つのに内覧が入らない。価格が高いから下げましょうと提案されたら要注意です。その不動産会社、、わざと他社に情報を公開しない囲い込みをしているかもしれません。売主の利益を損なう業界の裏事情と、防衛策を宅建士が暴露します。

問い合わせゼロの理由は物件じゃないかも。

不動産業界の闇「囲い込み」の手口と対策

1. 物語:3ヶ月経っても「内覧ゼロ」。担当者の言い訳は…

 

仙台で家を売ろう。そう決めて、誰もが知るような大手に専任媒介で頼んだ。

最初は安心します。看板も大きいし、広告力もあるはずだと。

ところが、売り出して1ヶ月、2ヶ月、気づけば3ヶ月。内覧の連絡がほとんど入らない。ポータルサイトには載っているように見えるのに、反応が薄い。売主さんの心は、じわじわ削られていきます。

勇気を出して担当者に聞くと、返ってくるのは決まってこの類いです。
相場より高いですね。今は時期が悪いです。まずは価格を下げましょう。

もちろん、価格が原因で動きが鈍い物件もあります。そこは否定しません。
ただ、私が危険だと思うのは、売主さんが本当に検証すべき順番を飛ばして、いきなり値下げに誘導されるケースです。

 

内覧がゼロに近いなら、価格以前に疑うべきものがあります。
それが、業界の闇と呼ばれてきた囲い込みです。


2. 業界の悪習「囲い込み」とは?両手仲介のカラクリ

囲い込みとは、売却依頼を受けた不動産会社が、自社で買主を見つけて手数料を両取りするために、他社からの問い合わせや内覧希望を意図的に断る行為です。売主は早期売却の機会を失い、競争が働かないことで高値売却の機会まで失います。

なぜそんなことが起きるのか。理由は単純で、儲かるからです。

仲介手数料には上限があり、売買の場合、片側(売主か買主のどちらか)から受け取れる上限が定められています。
これを売主側・買主側の両方から受け取れる取引が、いわゆる両手仲介です。数字の大小よりも、売主の利益より自社の都合が優先されやすい構造が問題なのです。

 

他社の買主が来ると、片手で終わります。
自社で買主を囲い込めば、両手が狙える。だから他社を排除したくなる。

「囲い込み」と「両手仲介」のカラクリ

自社の利益(手数料2倍)のために他社をブロック

本来の健全な姿
👤
売主
元付会社
(依頼先)
他社
(客付)
👤
買主
【片手仲介】 元付の売上 = 売主の手数料のみ (1倍)
囲い込みの構造
👤
売主
元付会社
(囲い込み)
👤
自社の買主
(手数料両取り)
嘘をついて
ブロック!
他社
(客付)
【両手仲介】 元付の売上 = 売主 + 買主 (2倍!!)
売主様のデメリット:
他社のお客様(買主)を排除されるため、「売れるチャンス」と「高く売れる競争原理」の両方を失います。

3. 「ただいま商談中です」という嘘が機会を奪う

 

囲い込みの現場で、一番よく使われる断り文句があります。
今ちょうど申し込みが入ってまして。商談中なので案内できません。

でも実態は、商談なんて入っていない。

あるいは、申込みの手前の単なる検討段階。そういうケースが存在します。

レインズの運用ルール上、元付業者は、客付業者(買主側の業者)から物件照会や案内申込みが入ったら、正当な事由がない限り拒否してはならないとされています。
さらに、他の顧客と商談中というだけでは、ただちに資料提供や案内ができない正当な事由にならない、という趣旨の注意喚起もされています。

ここが売主さんにとっての核心です。
断られた他社は、あなたに直接は言いません。関係がこじれるのが嫌だからです。結果、売主だけが何も知らないまま時間が溶けていきます。

そして最後に言われる。
反応が弱いので、価格を下げましょう。

 

それ、物件のせいではなく、入口で人を追い返しているせいかもしれません。


4. 【失敗談】囲い込まれて500万円ダウン。値下げの強要

 

これは私が実際に相談を受けた、典型例としてお話しします(個人が特定されないよう内容は調整しています)。

売り出しから2〜3ヶ月、内覧がほぼ入らない。担当者は相場より高いを繰り返し、値下げを提案。売主さんも不安に耐えきれず、数回の値下げに応じました。

でも、よく考えてください。
情報が広く流通していれば、相場感のある買主は必ず反応します。特に仙台のようにエリアごとに需給がはっきりしている市場では、なおさらです。反応ゼロが続くなら、価格だけを疑うのは危険です。

最悪のシナリオはこうです。
値下げで相場より安くなったところを、元付会社の買取再販ルートや関係筋が拾う。売主は急いで手放したつもりが、あとから周囲の成約事例を知って青ざめる。結果として500万円単位で取り返しがつかない差が出ることがあります。

 

私は、値下げそのものを否定しません。
否定するのは、値下げの前にやるべき検証を飛ばし、売主が不利になる形で値下げだけが進む流れです。


5. レインズの「登録証明書」だけで安心していませんか?

専任媒介や専属専任媒介では、レインズへの登録義務があります。専属専任は翌日から5日以内、専任は翌日から7日以内が目安です。
登録が完了すると、登録証明書が売主に交付されます。

ここで安心してしまう方が多い。
しかし、登録しただけで透明性が担保されるとは限りません。

2025年1月から、取引状況の登録が義務化され、売主が自分の物件の取引状況を確認しやすくする仕組みが強化されています。登録証明書には二次元コードが載るようになり、売主専用画面へのアクセスが改善されました。
売主専用画面では、公開中・書面による購入申込みあり・売主都合で一時停止中といった区分で状況確認ができます。

それでも、隠れ囲い込みは起きます。典型は次の2つです。

ひとつは、図面や写真などの肝心な資料をレインズに入れない。
レインズ側も、物件図面は登録するルールを明示しており、図面がないと詳細が伝わらず、結果的に紹介されにくくなります。

 

もうひとつは、他社から資料請求があっても、担当者へ個別に請求が必要などの形にしてハードルを上げ、実務上は出さないことです。売主から見えにくいのが厄介です。

レインズ登録の死角

「登録証があるから安心」ではありません

スマホで確認OK
取引状況ステータス
  • 公開中
  • 書面申込みあり
  • 一時紹介停止中
2025年から見やすく改善
⚠️ ここが隠される
実務上のサボタージュ
  • 図面・写真の未登録
  • 他社への資料出し渋り
  • 担当者不在で逃げる
レインズ画面には出ない
特に「図面なし」が招く悲劇とは?
他社(買主側の仲介)の動き
💻
レインズで検索
「お、条件に合う物件があった!」
図面あり すぐにお客様へ紹介 ➡ 内覧へ
図面なし・写真なし
「詳細がわからないから紹介できない…」

👋 スルー(検討対象外)される
Point: 「登録証明書」をもらったら、必ず「図面(販売図面)」もレインズに登録されているかを確認してください。これが無いと、全国の不動産会社があなたの物件をお客様に紹介できません。

6. スイコー不動産が「片手仲介」でも情報を拡散する理由

私は、囲い込みを一切しないと明言します。
理由はきれいごとではありません。売主さんの利益を最大化するなら、それが一番合理的だからです。

片手で終わっても構いません。
むしろ、世界中の不動産会社に協力してもらった方が、早く売れる可能性が上がります。競争が起きれば、価格面でも交渉力が上がります。

 

売却は情報戦です。
情報を閉じた瞬間に、売主さんの選択肢が削られます。私はそれをやりません。


7. まとめ:不信感があるなら「セカンドオピニオン」を

担当者に違和感がある。説明が曖昧。やたら値下げを急かす。
そう感じたら、あなたの感覚は案外当たっています。

一般媒介に切り替えて窓口を増やす。別の会社に依頼する。
それだけで状況が動くことは珍しくありません。専任・専属専任はレインズ登録義務がある一方で、窓口が1社に固定される怖さもあります。

スイコー不動産では、他社で売り出し中の物件について、広告が適正に回っているか、囲い込みの兆候がないかを診断するセカンドオピニオンの相談も受け付けています。

 

売れない理由が物件にあるのか、業者の動きにあるのか。
そこを切り分けるだけで、売主さんは無駄な値下げを避けられます。怖いのは、知らないまま損を確定させることです。

お好みの方法でご相談ください。

📞 0120-81-1415

受付時間:10:00~12:00、13:00~17:30(定休日:水曜日)



よくある質問(Q&A)

 

Q1:囲い込みされているか確認する方法はありますか?

 

A:現実的には、知り合いの不動産会社に買主側のふりで問い合わせてもらうなどの覆面調査に近い方法が多いです。売主本人が直接聞くと、きれいにかわされることがあります。

 

 

Q2:大手なら囲い込みはしませんか?

 

A:社名の大小は関係ありません。構造の問題です。両手仲介の誘惑がある以上、ノルマや社内評価が厳しい組織ほど、無理が出ることがあります。大手だから安心と決めつけるのが一番危険です。

 

 

Q3:一般媒介契約なら防げますか?

 

A:有効な防衛策の一つです。複数社に依頼すれば、情報が一社に握られにくくなります。専任・専属専任のような活動報告義務は弱くなるので、依頼先の管理は必要ですが、囲い込みの余地は小さくなります。

澤口 司

この記事を書いた人

澤口 司 株式会社スイコー 代表取締役

一級建築士・宅地建物取引士・Affiliated Financial Planner。「建築」と「不動産」の両面から、資産価値を守る提案。複雑な相続問題も、プロの知見でシンプルに解決へと導きます。

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