親が認知症になったら?実家の資産凍結を防ぐ唯一の方法

成年後見制度の真実
認知症診断=資産凍結
澤口 司

澤口 司

こんにちは、株式会社スイコーの澤口です。

業界ではあまり語られない「不動産取引の裏側」や「不都合な真実」も、包み隠さずお伝えします。皆様の利益を守るための「正しい判断基準」としてお役立てください。

「親が認知症になったら家を売って施設代に」は甘い?

実家の資産凍結を防ぐ唯一の方法

物語:繰り返される同じ話に感じた「違和感」

久しぶりに帰省して、実家の玄関を開けた瞬間はホッとします。

ところが、週末に片付けを手伝っていると、ふと現実が見えてくるんです。

冷蔵庫の奥から、賞味期限が半年以上前の食品が出てくる。
同じ話を、同じ順番で、今日だけで三回目。
「さっきも言ったよ」と言いかけて、飲み込む。

そのとき頭をよぎるのが、こんな考えです。

もし介護が必要になったら、この家を売ってお金を作ればいい。
施設代は、実家の資産で何とかなるはず。

…実はこれ、かなりの確率で“思った通りにいきません”。

 

脅すつもりはありません。

事実として、認知症と不動産は相性が悪すぎるんです。


問題:法律の壁。「意思能力」がないと不動産の売買契約は無効になる

 

不動産の売却は、印鑑と書類が揃えば終わり、ではありません。
一番大事なのは「本人が売ると理解して、売る意思で契約しているか」です。

法律上、意思能力がない状態で行った法律行為は無効になります。
つまり、認知症が進んで「売る意味が分からない」状態だと、売買契約そのものが成立しません。

ここで家族がよく誤解するのが、

  • 子どもが代わりに売ればいい

  • 施設費用なんだから家族が決めていい

という発想です。

残念ながら、子どもであっても、勝手に代理で売れません
委任状も、本人が内容を理解して作れなければ、同じ壁にぶつかります。

 

結果として起きるのが、いわゆる「資産凍結」です。
実家も動かせない、預金も動かしにくい。介護の資金だけが先に必要になる。これが現場で本当に増えています。


背景:救世主ではない?「成年後見制度」の意外と重いデメリット

 

「後見を付ければ売れる」と思われがちですが、成年後見は“本人を守る制度”で、家族が自由に動かせる仕組みではありません。

注意点は3つです。

① 報酬が、月額の目安で継続的に発生し得る(家庭裁判所が報酬を定めます)。

 

② 親の居住用不動産の売却は家庭裁判所の許可が必要で、許可なしは無効です。

 

③ 制度の目的はあくまで本人の保護・支援で、家族の都合が優先される制度ではありません。

 

しかも後見は、本人が回復して取り消されるか、亡くなるまで続くのが原則です。


失敗例・リスク:施設に入りたいのにお金がない。

 

実際に起こる“つらい流れ”は、だいたいこうです。

  1. 親の物忘れが進む

  2. 施設を検討するが、入居一時金や月額費用が必要

  3. 「家を売ればいい」と思う

  4. でも、契約に必要な意思能力が確認できない

  5. 成年後見を検討 → 申立て、審理、選任…で時間がかかる

  6. その間の施設費用を、子どもが立て替え続ける

一番きついのは、親のために動いているのに、家族の生活が削られていくことです。
子ども世代にも住宅ローンや教育費があります。立て替えが続くと、共倒れになりかねません。

 

「家があるのに、お金がない」
これが、塩漬け資産の怖さです。


成功するためのポイント:「家族信託」で親の財産を守り、活用する

 

結論から言います。
認知症による資産凍結を“実務上もっとも確実に避ける方法”が、家族信託です。

家族信託は、ざっくり言うと、

  • 親(委託者)が元気なうちに

  • 信頼できる家族(受託者)に

  • 不動産や預金の管理・処分の権限を託す契約

です。

家族信託の強み(不動産目線)

  • 認知症になっても、受託者が売却などの手続きを進められる

  • 「施設費用のために売る」「住み替えのために売る」など、目的に沿って動ける

  • 後見のように、原則ずっと毎月報酬が発生する仕組みではない(※専門家支援は別途)

公証人側も、家族信託(民事信託)が増えていることや、公正証書での作成状況について言及しています。

 

もちろん、家族信託にも注意点はあります。
受託者の責任が重い、設計を間違えると逆に揉める、などです。だからこそ、「とりあえずネットの雛形」だけで進めるのはおすすめしません


仙台の公証役場はどこ?手続きの流れと費用の目安

 

家族信託は「公正証書」で作るケースが多いです(金融機関や登記実務で求められやすい)。

仙台でまず押さえる公証役場の一つが、仙台一番町公証役場です。

 

  • 所在地:仙台市青葉区一番町2丁目2-13 仙建ビル6階
  • 電話:022-224-6148

 

 

 

手続きの大まかな流れ

 

  1. 家族会議(何のために、誰が受託者か、売却の条件はどうするか)
  2. 司法書士等と信託設計(不動産・預金・税務も含めて)
  3. 公証役場で公正証書化
  4. 信託登記(不動産がある場合)
  5. 信託口口座の準備(必要に応じて)
  6. 費用の目安(“公証役場に払う部分”)

 

 

 

 

 

 

信託の公正証書手数料は、信託財産の価額で決まる部分に加え、信託は加算(例:信託財産1億円以下なら1万3000円加算)があるとされています。

 

※ここに、司法書士・弁護士等の報酬、登記費用、書類取得費などが加わります。案件ごとの差が大きいので、私は「最初に見積もりを取って全体像を掴む」ことを強くおすすめします。


まとめ:実家は「ある」のに「使えない」資産になり得ます

親御さんの物忘れが増えたとき、私たち子ども世代がつい考えるのが
「いざとなったら実家を売って、施設費用に充てればいい」という段取りです。

ただ現実は、認知症が進むと“売る意思の確認”ができず、売却が止まることがあります。
成年後見制度で動かせるケースもありますが、家裁の許可や手続き、継続的な負担が発生し、思ったほど自由には動けません。

 

だからこそ大事なのは、怖がることではなく、“元気なうちに段取りを作っておく”ことです。
段取りさえ先に作っておけば、介護が始まっても、家族の負担が一気にのしかかる確率は下げられます。

① まずは「実家がいくらで売れそうか」を把握したい方へ(3分)

不安の正体は「見えないこと」です。

先に数字を把握すると、家族会議が一気に進みます。

  • まずは相場感を掴む
  • 必要資金(施設費用)とのギャップを把握する
  • 家族で共有しやすい形にする

▼ SelFinで“実家の目安”を確認して、結果を保存する(無料)


② もう「家族で話すのがしんどい」「揉めそう」な方へ(最短)

不動産・介護・家族の話は、当事者だけで整理しようとすると、だいたい止まります。
私たちは不動産会社ですが、売る/売らないの前に、家族が合意できる段取りを一緒に作ります。

  • 実家を売るべきか、残すべきか

  • 売るなら「いつまでに・いくら必要か」

  • 信託/後見など、どの枠組みが合うか

  • 司法書士等と連携して、必要なら次の手続きへ

お好みの方法でご相談ください。

📞 0120-81-1415

受付時間:10:00~12:00、13:00~17:30(定休日:水曜日)


よくある質問

 

質問1:軽い物忘れ程度ならまだ間に合いますか?

 

多くの場合、間に合います。ポイントは「診断名」よりも、契約内容を理解して意思表示できるかです。少しでも不安があるなら、先送りせず動いてください。

 

 

質問2:成年後見人を家族にすることはできますか?

 

できます。ただし必ず家族が選ばれるとは限りませんし、居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要で、許可なしは無効です。

 

 

 

質問3:家族信託の費用はどれくらいかかりますか?

 

信託財産の内容と設計次第で幅があります。公証役場手数料は財産額に連動し、信託は加算があるとされています。まずは「何を信託に入れるか(不動産だけか、預金もか)」を整理し、専門家と一緒に総額の見積もりを出すのが確実です。



澤口 司

この記事を書いた人

澤口 司 株式会社スイコー 代表取締役

一級建築士・宅地建物取引士・Affiliated Financial Planner。「建築」と「不動産」の両面から、資産価値を守る提案。複雑な相続問題も、プロの知見でシンプルに解決へと導きます。

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