
実家の片付けで心が折れる前に
残置物撤去の費用相場と、10万円安くする仕分け術
1. 物語:4トントラック何台分?実家の荷物は想像以上
実家の片付けって、やってみるまで量が読めません。
休みのたびに通っているのに、押し入れを開ければ布団が何組も出てきて、引き出物の箱がそのまま積み上がっている。台所の棚を開ければ、賞味期限がとっくに切れた調味料がずらり。
そして、手が止まるのが写真や手紙、昔の家計簿、親のメモ帳です。
捨てれば早いのは分かっている。でも、捨てる作業が心に重くのしかかる。
ここが、遺品整理の一番つらいところだと思います。
私は不動産の現場で、実家じまいに向き合うご家族をたくさん見てきました。
皆さん、頑張り過ぎます。片付けは体力勝負に見えて、実は気力勝負です。
今日はその気力が折れる前に、少しでも負担が軽くなるやり方を整理してお伝えします。
2. 「空渡し」が原則。売却における引き渡しのルール
不動産の売却では、引き渡し日までに家の中を空にする、いわゆる空渡しが一般的です。
家具家電だけではありません。
庭の植木鉢、物置の中のタイヤ、脚立、余った塗料、壊れた扇風機。
こういう細かい残置物まで、最後は全部が対象になります。
買主さんから見ると、残置物がある家は次の不安につながります。
誰が、いつ、何を、どこまで片付けるのか。
これが曖昧だと、トラブルの火種になります。
だから契約上も、はっきりさせる必要があるんですね。
ここでお伝えしたいのは、精神論ではなく段取りの話です。
空渡しは確かに大変ですが、順番と役割分担を間違えなければ、無理なく終わります。
3. 業者に頼むといくら?間取り別の費用相場
残置物撤去や遺品整理を専門業者に依頼すると、費用は幅が出ます。理由は単純で、値段を決めるのが部屋数ではなく物量と作業人数だからです。
同じ4LDKでも、物が少ない家と、押し入れ・納戸・物置が全部満タンの家ではまるで違います。階段作業の有無、駐車スペースの取りやすさ、作業日数も効いてきます。
私の感覚値になりますが、目安としてはこうです。
1K〜1DKで数万円〜十数万円、2DK〜2LDKで十数万円〜三十万円前後、3LDKで二十数万円〜六十万円前後、4LDK戸建てだと数十万円〜100万円超まで見込んでおくと現実的です。
① 間取り別・残置物撤去の費用目安
※物量・作業環境により大きく変動します
(戸建て想定)
「部屋数」よりも「荷物の量」で決まります。階段作業の有無、トラックの駐車位置、分別作業の難易度によっても金額は変わります。
② 費用は「トラックの台数」で決まる
荷物が多い=台数が増える=費用が上がる
家庭のゴミを運べるのは
「一般廃棄物」の許可だけです
収集運搬業許可
古物商許可
(これだけでは違法)
4. 【失敗談】自分たちでやろうとして腰を痛め、結局高くついた話
節約のつもりで、ご家族総出で週末ごとに片付けを始めるケースは多いです。最初の1〜2回は進みます。ところが、問題はそこからです。
大物家具の搬出が始まると、体が追いつきません。タンス、食器棚、重たい本棚。無理な姿勢で持ち上げて腰を痛め、結局作業が止まる。
さらに地味に効いてくるのがコストです。ガソリン代、高速代、段ボールや軍手、レンタカー代。半年通っても終わらず、疲労困憊のまま最後に業者へ依頼。ここまで来ると、精神的にも金銭的にも消耗が大きいです。
私は、全部自分でやり切るプランはおすすめしません。ご家族の体調を崩してしまったら、実家じまいどころではなくなります。危ない作業は、最初から線を引きましょう。
5. 費用を抑えるコツは「液体」と「紙・布」の事前処分
ここからが、現実的に10万円単位で差が出やすいところです。
結論は単純で、全部業者任せは高い、全部自分は無理。だからハイブリッド方式が一番うまくいきます。
特に効果が大きいのが、液体と紙・布です。
液体は、洗剤、シャンプー、調味料、塗料、食用油など。中身が入ったままだと、仕分けや処分の手間が跳ね上がり、追加費用の原因になりやすいです。
紙・布は、新聞、雑誌、段ボール、古着、布団カバー類。量が多くても、分別さえできれば自治体の資源回収に乗せやすい。ここを先に抜くだけで、残る物量がぐっと減ります。
仏壇や神棚は、ここで無理に処分を進めないでください。一般的には閉眼供養、いわゆる魂抜きが必要とされることが多いです。お付き合いのあるお寺さん、または仏具店に相談すると段取りがつきやすいです。気持ちの整理にもなります。
費用を抑える「ハイブリッド仕分け」
「かさばる物・液体」を抜くと安くなる!
新聞、雑誌、段ボール、古着、布団カバーなど
洗剤、調味料、油、シャンプー
※中身を空にするのが重要
空き缶、瓶、ペットボトル
タンス、ベッド、食器棚、ソファなど
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン
金庫、消火器、搬出が困難なもの
無理に処分せず、まずは「閉眼供養(魂抜き)」が必要です。
お付き合いのあるお寺、または仏具店にご相談ください。
(気持ちの整理をつけてから進めましょう)
6. 仙台市のゴミ分別ルールと「臨時ごみ」の活用
仙台市は、分別の確認がしやすい仕組みがあります。
迷う品目は五十音で引くワケ方事典などで確認できますし、危険につながる出し方には注意喚起も出ています。
例えばスプレー缶。仙台市では、週1回の缶・びん・ペットボトルの収集日に、集積所にある黄色の回収容器へ直接入れるルールです。家庭ごみやプラスチック資源に混ぜると火災原因になり得るので要注意です。
そして、大量の片付けで頼れるのが次の二つです。
ひとつは自己搬入。今泉工場や葛岡工場に自分で持ち込む方法です。受付日時や、休日の受け付け日、手数料の目安も公表されています。たとえば、今泉工場・葛岡工場は1回1台の搬入につき100kgまで1,500円、100kg超は10kgごとに150円などの案内があります。 仙台市公式サイト
もうひとつが臨時ごみ。市に収集を依頼できる制度で、処理手数料は粗大ごみの品目別料金に加えて、その他のごみの料金が10kgごとに260円、さらに収集手数料が1回1,000円という仕組みです。
支払いは現金で、粗大ごみ手数料納付券は使えません。
粗大ごみ手数料納付券そのものは、券種や使い方が決まっています。臨時ごみや自己搬入では使えない点も、仙台市の案内に明記されています。
片付けは、体力がある人が勝つ作業ではなく、制度を知っている人が楽できる作業です。遠慮なく制度を使い倒してください。
7. まとめ:荷物はそのままで査定OK。まずは「売れるか」を確認
ここが一番大事です。
片付けてから不動産屋を呼ぶのではなく、片付ける前に呼んでください。
荷物が残っていても、査定はできます。
むしろ、その状態で見た方が、次の判断が早くなります。
例えば、買主さんが使いたがる家具が混ざっていることもあります。
逆に、古家付き土地として売る方向なら、解体更地渡しが前提になって中身の撤去も別段取りになることがあります。先に片付けを始めてしまうと、頑張った労力が無駄になりやすいんです。
当社では、残置物の量や、売り方の選択肢も含めて、現地を見ながら整理します。
全部捨てる前に、一度だけ立ち止まって、売れるかどうかを確認してください。
それだけで、心と体の負担がかなり減ります。
お好みの方法でご相談ください。
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:30(定休日:水曜日)
よくある質問(Q&A)
Q1:エアコンは外すべきですか?つけたままですか?
A:製造年と状態によります。比較的新しく動作が問題なければ、次の方がそのまま使いたいケースもあります。撤去する前に、売り方と買主ニーズを確認してから判断するのが安全です。
Q2:孤独死があった部屋でも片付けてもらえますか?
A:対応は可能ですが、状況によっては特殊清掃が必要になります。臭い・衛生面の処置が絡むため、通常の片付け業者ではなく、専門業者との連携が前提になります。まずは現地確認の上で、必要な工程を切り分けます。
Q3:見積もりは現地を見ないと出せませんか?
A:基本的に現地見積もりが必要です。費用は物量と作業人数で決まるため、写真だけだと誤差が大きくなります。追加料金で揉めないためにも、現地で確認して明細を出してもらうのが安心です。
補足として、家庭ごみの回収は許可が絡みます。仙台市や環境省も、無許可業者への注意喚起をしていますので、許可の確認は必ず行ってください。
この記事を書いた人
澤口 司 株式会社スイコー 代表取締役
一級建築士・宅地建物取引士・Affiliated Financial Planner。「建築」と「不動産」の両面から、資産価値を守る提案。複雑な相続問題も、プロの知見でシンプルに解決へと導きます。
