
不動産購入の申込み後に「やっぱりやめたい」と思ったら|キャンセルの流れと注意点を解説します
中古マンションや中古戸建を内見したあと、営業担当者に勧められて購入申込書や買付証明書にサインしたものの、帰宅してから「本当にこの物件でよいのだろうか」「やっぱりやめたい」と不安になる方は少なくありません。
結論から言うと、売買契約を結ぶ前であれば、購入申込みのキャンセルは可能です。
また、購入申込みの際に支払った申込金・申込証拠金は、原則として返還される性質のお金です。不動産適正取引推進機構も、購入申込み時の申込金は預り金であり、自己都合のキャンセルであっても返還されると説明しています。
ただし、売買契約を締結した後は話が変わります。契約後のキャンセルでは、手付金の放棄や違約金が問題になることがあります。この記事では、不動産購入申込み後にキャンセルしたい場合の判断基準、申込金と手付金の違い、トラブルを避ける連絡方法をわかりやすく解説します。
まず確認|いまの段階は「購入申込後」か「売買契約後」か
不動産購入をキャンセルしたいと思ったとき、最初に確認すべきことは、現在の手続きがどの段階にあるかです。
判断の目安は次のとおりです。
購入申込後・買付証明書提出後
まだ売買契約書に署名・押印していない段階です。この段階であれば、購入申込みは「購入したい」という意思表示であり、売買契約そのものではありません。キャンセルは可能です。
売買契約後
重要事項説明を受け、売買契約書に署名・押印し、手付金を支払った段階です。この場合は契約が成立しているため、自己都合でキャンセルすると手付金の放棄や違約金が発生する可能性があります。
つまり、同じ「やめたい」でも、契約前か契約後かでお金の扱いが大きく変わるということです。
購入申込みは契約ではありません
不動産購入の流れでは、気に入った物件が見つかると、購入申込書や買付証明書を提出することがあります。これは、売主に対して「この条件で購入したい」という意思を伝えるための書類です。
しかし、購入申込書を出しただけで、ただちに売買契約が成立するわけではありません。
そのため、売買契約を結ぶ前であれば、購入申込みを撤回することができます。迷いがある場合は、無理に契約へ進まず、できるだけ早く不動産会社へキャンセルの意思を伝えることが大切です。
申込金・申込証拠金は返金される?
購入申込みの際に、申込金・申込証拠金・預り金などの名目で数万円から10万円程度を支払うことがあります。
このお金は、売買契約前の段階では、基本的に「預り金」として扱われます。宅地建物取引業者等は、契約申込みの撤回や解除を妨げる行為をしてはならないとされており、申込みの撤回を妨げる行為は宅建業法47条の2でも規制されています。
したがって、売買契約前にキャンセルする場合、申込金は原則として返金されるものと考えてください。
ただし、後日のトラブルを避けるために、申込金を支払う場合は次の点を確認しておくと安心です。
- 領収書ではなく「預り証」になっているか
- 但し書きに「申込証拠金」「預り金」などと記載されているか
- 契約不成立の場合に返金されることが明記されているか
- 返金時期と返金方法が確認できているか
キャンセルしたいときは、いつまでに連絡すべき?
購入申込み後のキャンセルは、売買契約を結ぶ前までに伝えることが重要です。
購入申込みから売買契約までは、物件によっては数日から1週間程度で進むこともあります。人気物件の場合、不動産会社や売主側が契約準備を急いで進めることもあります。
そのため、迷いがある場合は、次のような状態のまま契約予定日を迎えないようにしてください。
- 住宅ローンの返済に不安がある
- 管理費・修繕積立金・固定資産税などを含めた総支出を確認していない
- 修繕履歴や建物状況に不安がある
- 家族の意見がまとまっていない
- 他の物件と比較しきれていない
- 営業担当者に急かされて決めてしまった
不安が残っているなら、契約前に一度立ち止まることが大切です。
キャンセル連絡の伝え方
キャンセルの意思は、電話だけでなく、メールやLINEなど記録が残る方法でも伝えておきましょう。
文例は次のような形で問題ありません。
先日購入申込みをした〇〇物件について、家族で再検討した結果、今回は購入申込みを撤回させていただきたいと思います。
売買契約前の段階ですので、申込金の返金手続きについてご案内をお願いいたします。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
ポイントは、感情的に伝えず、購入申込みを撤回する意思を明確に伝えることです。
売買契約後のキャンセルは注意が必要です
売買契約を締結した後にキャンセルする場合は、購入申込みの撤回とは扱いが異なります。
民法557条では、買主が売主に手付を交付した場合、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を現実に提供することで契約解除ができるとされています。ただし、相手方が契約の履行に着手した後はこの限りではありません。
つまり、契約後に買主都合でやめる場合は、一般的に次のようなリスクがあります。
- 手付金が戻らない
- 手付解除期日を過ぎると違約金が発生する可能性がある
- 売主や不動産会社との交渉が必要になる
- 契約書の条項によって対応が変わる
ただし、住宅ローン特約が付いている場合、金融機関の審査が通らなかったときに白紙解約できることがあります。ローン特約には期限や手続きが定められているため、契約書の内容を必ず確認しましょう。
「やっぱりやめたい」と思ったときに確認すべき5項目
購入申込み後に不安になったときは、次の5つを確認してください。
1. 売買契約書に署名・押印しているか
まだ契約書に署名・押印していないなら、購入申込みの撤回として対応できる可能性が高いです。
2. 支払ったお金は申込金か手付金か
申込金と手付金は性質が異なります。契約前に支払った申込金は原則返金対象ですが、契約時に支払う手付金は、契約後の解除時に戻らない場合があります。
3. 重要事項説明は受けたか
重要事項説明を受けただけでは契約成立とは限りませんが、契約直前の段階です。迷いがある場合は、その場で契約に進まない判断も必要です。
4. 住宅ローンの見通しは立っているか
月々の返済額だけでなく、管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税、火災保険、将来の修繕費まで含めて検討しましょう。
5. 物件のリスクを確認したか
中古マンションなら管理状況や修繕積立金の増額予定、中古戸建なら雨漏り、構造、耐震性、リフォーム費用などを確認する必要があります。
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まとめ
不動産購入の申込み後に「やっぱりやめたい」と思った場合、まず確認すべきなのは、売買契約前か契約後かです。
売買契約前であれば、購入申込みのキャンセルは可能です。申込金・申込証拠金も、原則として返金されます。
一方で、売買契約後のキャンセルは、手付金の放棄や違約金が発生する可能性があります。
不安があるまま契約へ進む必要はありません。迷ったときは、早めに立ち止まり、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
Q. 購入申込書にサインしたら契約成立ですか?
いいえ。購入申込書や買付証明書は、購入希望の意思表示であり、通常は売買契約書そのものではありません。売買契約前であれば、キャンセルできる可能性があります。
Q. 申込金を払った後でもキャンセルできますか?
売買契約前であればキャンセル可能です。申込金は預り金として扱われるため、原則として返金されます。
Q. キャンセル理由は詳しく伝える必要がありますか?
詳しく伝える義務はありません。ただし、売主や不動産会社との関係を考えると、「家族で再検討した結果」「資金計画に不安が残るため」など、簡潔に伝えるとよいでしょう。
Q. 契約後にキャンセルすると手付金は戻りますか?
買主都合で契約後にキャンセルする場合、一般的には手付金を放棄して解除する形になります。契約書の手付解除期日や違約金条項を確認してください。
Q. 住宅ローンが通らなかった場合も手付金は戻りませんか?
契約書に住宅ローン特約があり、期限や手続きなどの条件を満たしている場合は、白紙解約できることがあります。契約前にローン特約の内容を必ず確認しましょう。
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