3人の一級建築士が懲戒処分を受けた建築工事
大手だから安心…ではない。建築主が知っておくべき“建築確認”と建築士の責任
住宅を新築するとき、多くの方が「大手ハウスメーカーなら安心」と考えがちです。 しかし、実際には大手であっても法律違反が起きることがあるのが現実です。
今回は、一級建築士が建築確認を受けずに工事を容認し、懲戒処分を受けた事例をもとに、建築主が知っておくべきポイントを整理します。
1. そもそも「建築主」とは誰なのか
建築基準法では「建築主」を次のように定義しています。
建築工事を注文する人、または自ら工事を行う人。
つまり、住宅を建てるあなた自身が「建築主」です。
そして建築主には、工事着工前に必ず
- 建築確認申請を提出し
- 確認済証の交付を受ける
という法律上の義務があります。
▶ 建築確認済証がないまま着工すると違法
これは建築の世界では“基本中の基本”。
にもかかわらず、確認済証がない状態で工事が進むケースが後を絶ちません。
2. 建築確認や監理は建築士が代行できるが…
建築主が自ら申請や監理を行うこともできますが、実際には専門知識が必要なため、多くの場合は建築士に代行を依頼します。
ここで重要なのは、
- 建築士は建築士事務所に所属していなければ業務ができない
- 名刺に「一級建築士」と書いていても、事務所に所属していなければ業務は違法
という点です。
3. 実際に起きた“一級建築士3名の懲戒処分”
国土交通省は平成31年4月、一級建築士3名に対し業務停止1か月の懲戒処分を発表しました。
▶ 処分理由
3名とも共通していたのは、
- 建築確認済証が交付されていないのに工事を容認した
という重大な違反です。
建築士であれば、これがどれほど重い違反か理解しているはず。
それでも起きてしまうのが現実です。
4. なぜこんなことが起きるのか
国土交通省は処分内容を公表しますが、 「なぜ確認前に工事を進めたのか」 「建築主との間で何があったのか」 といった背景までは明らかにされません。
しかし、建築士の処分だけでなく、場合によっては建築主にも民事・刑事責任が及ぶ可能性があります。
5. 過去にも大きな問題があった ― 構造計算書偽装事件
かつて構造計算書偽装問題が発覚し、建築士や発注者が逮捕され、国会で証人喚問が行われるほどの大事件になりました。
この事件をきっかけに、
- 建築基準法
- 建築士法
が改正され、建築士の責任はさらに重くなりました。
それでもなお、今回のような違反が起きています。
6. 大手だから安心…ではない理由
大手企業でも、担当するのは“人”です。
そして建築士もまた“人”です。
- 大手だから絶対に安全
- 大手だから法令違反はしない
という保証はどこにもありません。
▶ 本当に大切なのは「信頼できる担当者」
住宅建築は、建築主・建築士・施工会社が
お互いに信頼関係を築きながら進めるものです。
7. 住宅を建てるあなたが気をつけるべきこと
- 建築確認済証の交付前に着工していないか
- 担当建築士が建築士事務所に所属しているか
- 曖昧な説明や急かすような態度がないか
- 書類の控えを必ず受け取っているか
これらは大手・中小に関係なく、建築主が必ず確認すべきポイントです。
補足:建売住宅・中古住宅の場合は「建築主」ではない
建売住宅を購入する場合や中古住宅を買う場合、 あなたは建築主には該当しません。 建築確認は売主側が行っています。
まとめ:安心を買うのは“会社の規模”ではなく“姿勢と誠実さ”
住宅は一生に一度の大きな買い物です。 だからこそ、建築主であるあなた自身が正しい知識を持ち、 信頼できる建築士・業者を選ぶことが何より大切です。
大手だから安心ではなく、 誠実に向き合ってくれる人を選ぶことが、後悔しない家づくりの第一歩です。
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